介護保険制度の課題として挙げられているのは、介護保険の財源不足と介護職員の不足だ。介護保険に必要な費用は、公費・税金で半分が賄われ、残りは40歳以上の被保険者が支払う保険料に頼っている。しかし、高齢化が進み、2019年度の給付額は度介護保険制度が施行された2000年度の約3.3倍になっているのが現状だ。2025年には団塊世代が75歳以上になるため、介護を必要とする人たちが増え、介護費用も増加することが予測されている。同時に介護保険料を負担する人口が減っていくため、財源の確保がますます困難になるだろう。

これらの問題の対策としては、法律を改正し、保険料納付開始の年齢を早めること、介護保険料を引き上げることなどが考えられている。また、高所得者の介護保険料と介護サービス利用費用を引き上げることも対策として考えられているが、これらの方法に対しては、国民からの反発も予想されるだろう。加えて、介護予防を強化することによって介護を必要とする高齢者の数を減らすという方法も検討されているが、新制度を導入しない限り解決できないという専門家もいる。

財源の問題に加えて、看護現場で働くスタッフが不足しているということも大きな問題だろう。介護職員の数は2000年から2017年までに3.4倍になったが、その後はあまり伸びていない。厚生労働省は、2025年にはおよそ55万人の介護関係の人材が不足するという試算も出している。介護業界に対しては、仕事が大変そう、待遇が良くないというイメージが強いため、介護職を敬遠する人も少なくない。介護職のイメージアップや労働環境の整備、外国人労働者の受け入れを行っているが、以前として人材不足が続いている現状がある。